2017年8月29日火曜日

けがの応急手当

日常生活のなかには、危険がいっぱい。すり傷、骨折、やけど……。ここでご紹介するのは、いざというときのために身につけておきたいけがの応急手当てです。ぜひ一度チェックしてみてください。
すり傷をした
  小さな傷でもばい菌が入ると、化膿して傷の回復が遅れます。
  そのままにしておかないほうがいいのです。まず、すりむいた
  患部についた泥や砂を、きれいな水でよく洗い流して、状況に
  よって患部とそのまわりに消毒液を塗ります。軽い傷ならこれ
  でOKこすれて痛いようなら、滅菌ガーゼを当てて包帯を巻い
  ておくとよいでしょ う。
 トゲが刺さった
  トゲが刺さったら、何も残さず完全に抜き取ることが大切です。
  トゲ先が外に出ているときは、石けんと流水で患部をよく洗うか、オキシドール
  などでよく消毒 し、毛抜きかピンセットでトゲの入った角度で引き抜きます。
  トゲが完全に中に入っているときは、針を炎でよく焼いて消毒し、針で患部の傷口を
  広げトゲを掘り出します。全部抜き取ったら、オキシドールなどで消毒して、救急絆
  創膏を貼っておきましょう。
目にごみが入った
  涙で流し出してしまうことが大切です。水のなかで目をパチパチさせて洗い出すか
  綿棒やガーゼを濡らして直接ごみをぬぐい取るのがいいでしょう。
  目をこすると角膜を傷つけるので、絶対にこすらないようにしてください。
鼻血が出た
  子どもの場合、鼻にも全身にも異常がないのに鼻血が出ることがあります。これが
  自発性鼻出血です。そのほか、炎症や鼻中隔わん曲による出血や、高血圧や白血病
  など血液の病気による出血もあります。
  自発性の出血には、次のような対処法があります。
・鼻を冷湿布しながらつまむ
・ガーゼか脱脂綿を丸めて鼻につめ、鼻先をつまむ
・椅子やクッションに上体を45度の姿勢でよりかかり安静にする
    他の原因の出血の場合は、医師に相談して、正しい治療指示を受けてください。
    首筋を叩くのは危険なのでやめましょう。
鼻を打った場合
    鼻筋が曲がっているように見えたり、コブのように大きく腫れたりしていたら骨折
    の疑いがあります。骨折しているようなら、すぐ医師の手当てを受けましょう。
    骨折がなければ、さすったりもんだりしないで、冷たいタオルで患部を冷やして
    腫れをひかせます。
耳に異物が入った
    耳の入口近くに異物が見えるなら、ヘアピンなどでかき出します。ヘアピンの
    丸いほうを耳の奥に入れて、引っかけるようにして取り出すといいでしょう。
    取れないときは、無理をするとよけい奥に入ってしまうので、専門医に任せます。
    虫が入った場合は、耳に光を当てると虫が光に向かって飛び出してきます。
    光を当てても出てこないときは、タバコの煙を耳の中に吹き込んで虫をいぶり出す
    オリーブ油かアルコールを耳の穴に数滴たらして虫を殺し取り出す、という方法が
    あります。
    耳に水が入ったときは、入ったほうの耳を下にして片足飛びをし、振動で出します。
    また、熱い石やコンクリートに耳をつけると、水が出ることもあります。
骨が折れた
     骨が折れると出血のために患部が腫れ、内出血による皮膚の変色がみられます。
     局所に強い痛みがあり、ちょっとさわっただけでもひどく痛みます。また変形してい

     るので、左右を比べると外形上の異常が認められます。
     骨が完全に折れている「完全骨折」と一部接続していたり、ひびが入ったりする状態
     などの「不完全骨折」があります。
     骨折したらむやみに動かさないで、固定することが大切です。副子にタオルか布を
     置くか巻くなどして、骨折部に当たる部分を柔らかくして固定しましょう。
     ひびが入った場合も同じです。
肉離れを起こした
    大腿や下肢の後ろ側に激痛が起こり、走ったり歩いたりできなくなります。筋肉への
    急激な衝撃で結合組織が切れたことが原因です。
    応急手当てとしては、まず、患部にガーゼなどを当てて氷で冷やします。そして、冷湿布
    をし、患部を固定します。これを、3~4日痛みが消えるまで続けます。痛みがひいたら
    温湿布や入浴マッサージを2~3週間続け、軽い運動をします。
捻挫(ねんざ)した
    捻挫は、関節をとりまいている靱帯(じんたい)に大きな外力が加わったことで伸びた
    状態をさします。腫れあがると、強い痛みが起きます。
    捻挫したときは、もんだりひっぱったり動かしたりせず、十分に冷やしてから包帯など
   で固定し、安静にしておきましょう。
   痛みや腫れがひどいときや骨折の疑いがあるときは、副子を当てて固定し、医師

   の治療を受けてください。
   ※副子(ふくし):添え木と同様固定するために当てるもの
 靴ずれを起こした
    靴ずれしかけたら、当たる部分に石けんやロウを塗るか、セロテープなどを貼って
    すべりをよくするといいでしょう。
    靴ずれで水ぶくれができてしまったときは、患部を水と石けんでよく洗い、炎で焼い
    た針で水疱をつぶし、ガーゼで中の液を押し出します。さらに、つぶした患部を滅菌
    テープでおおいます。 水ぶくれがつぶれたときは、患部を十分に消毒し、ガーゼを
    重ね、患部に当たらないようガーゼに穴を開けておおいましょう。さらにその上に
    ガーゼを当ててばんそうこうでとめます。
    長時間歩くときは、新しい靴をはかないようにしましょう。

頭を打った    

  たいしたことがないようでも、12~24時間後になって意識障害を起こすこともあり
  ます。歩けても歩かせず、とにかく安静にします。頭を少し高くして寝かせ、氷枕
  や氷のうで頭を冷やします。

  頭の強打は、そのときは何でもなくても、しばらくして急変することがあるので注意

  しましょう。意識障害やけいれん、嘔吐があったら、その応急手当てをして、なるべく
  早く脳神経外科の医師の診察を受けてください。
危険な症状
     次のような症状が出たら、すぐ病院へ。運搬は絶対静かに!
     頭痛、吐き気、嘔吐、けいれん、ひきつけを起こす、耳鼻口から血や液体が出る、
     意識不明、手足がしびれる、顔色が蒼白でショック症状がある、左右の目の瞳の大き
     さが違う
         
   参考)頭の損傷
     ・こぶ
       脳の損傷はほとんどない
     ・脳しんとう
       数分間、意識を失うがすぐ回復する
     ・頭蓋内出血
       意識がぼんやりしてくる危険がある
     ・脳挫傷
       昏睡状態で死亡する危険が大きい
切り傷をした
     軽い切り傷なら、少し出血させて、傷口のばい菌を流してから、きれいな水で洗い

  ます。状況によって消毒液を塗ります。自然に血が止まらないようなら包帯を巻き
  ます。少し深目の切り傷なら、滅菌ガーゼか清潔なハンカチで圧迫止血します。傷口
  を心臓より高めにすると止まりやすくなります。血が止まったら、ガーゼを当てて包帯
  をします。それでも血が止まらないようなら、直ちに医師の治療を受けて下さい。
クギを踏んだ
   クギを踏むと、ばい菌が体内に入ってしまいますから、傷口が小さくても中で化膿する
   危険があります。 クギを抜いたら、まず傷口の回りから傷口に向かって血を十分に絞
   り出します。絞り出してから、傷口を開くようにしながら奥の方までよく消毒します。

 深く刺さって簡単に抜けないときは、そのまま病院へ。
   古クギを踏むと、クギを抜いても体内にサビや汚れ、ばい菌や恐ろしい破傷風菌など
   が残りますので、医師の手当てを受けてください。
爪を傷つけた
   爪のけがは「ひょうそ」になりやすいので、応急手当て後は外科医の治療を受けたほう

 が安全です。爪がはがれたら、消毒を十分にして、爪を元に戻し、包帯か絆創膏でとめ
 て病院へ。爪の間に異物が入ったときは、爪を短く切り、炎で焼いた針で異物を取り出
 します。その後、消毒を十分にして、滅菌テープを貼り、爪を保護しましょう。
  爪のけがはズキズキと痛みが強いのが特徴です。手当ての後は患部を頭より高くする

 と痛みが和らぎます。
耳を打った    切り傷なら傷口にガーゼを当てて、上から圧迫包帯をします。
    打ち身なら、冷たいタオルで冷湿布して、しばらく安静にしています。ただし、耳の

  強打は頭の内部や脳にも影響することがありますから軽視してはいけません。
やけどをした     
  やけどの程度は大きく分けると次の3つになります。
  • 第1度(紅斑性火傷)皮膚が赤くなりヒリヒリ痛む
  • 第2度(水疱性火傷)水ぶくれができて痛みが強い
  • 第3度(壊死性火傷)内部の組織まで破壊させ、皮膚は白色または黒く焦げる

 第1度か第2度程度で面積の狭いやけどなら、痛みや熱がとれるまで流水で冷やします。
 このとき蛇口から直接流水を受けると、弱った皮膚を刺激しますので、流水を1度器に受
 けて冷やし続けます。 チンク油、油脂類、ミソなどはやけどによって弱った皮膚からかえ
 って細菌感染を促すので、やめましょう。
ぎっくり腰になった 
   ぎっくり腰は、腰の筋肉の筋ちがいのことで、結合組織の損傷が原因です。痛みは
   温めると和らぎます。仰向けに寝かせ、ひざの下に当てものをして安静に。サラシ
   木綿などで腰椎の部分をしっかり巻いておくと効果があります。
   患部をもんだりさすったりせず、最低4~5日は安静にする必要があります。足に
   しびれがあるときは、医師の手当てを受けてください。


                   ここに掲載の応急手当ては、あくまでも“とりあえず”の措置に
                          すぎず、手当てのすべてではありません。








   

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