2017年10月11日水曜日

記憶が抜け落ちること

記憶が抜け落ちることに気付いた時、チェックしたいこと

 度忘れしてしまうことはよくあることですが、もし
そういった物忘れが多くなってきた場合、それは心
の不調を反映しているのかもしれません 。やろうとし
ていたことをつい忘れてしまったことは最近かったでしょ
うか?な 例えば朝、郵便ポストに入れるはずだった封筒が、
夜に帰宅したらカバンの中に入ったまま……なんてことは時
にあるかもしれません。こうした健忘の多くは日常範囲の現象
ですが、日常範囲とは言いがたい心の病気や薬物の影響も考えられる場合を詳しく解説します。
■用事を忘れたのは短期記憶の喪失!
 物事を記憶し、必要に応じて記憶していた内容を取り出すことは脳の重要な役目。
 記憶に携わる脳内の部位としては海馬が有名です。海馬の語源は、その部位が
 タツノオトシゴのような形状をしていることですが、例えば悪性腫瘍あるいは外傷
 のために海馬の機能が損傷されれば、深刻な記憶障害が現われる可能性もあり
 ます。でも冒頭の例程度の物忘れであれば、海馬の損傷を気にする必要はない
 でしょう。ところでポストに封筒を入れ忘れたことは、記憶の分類では短期記憶の
 喪失です。こうしたことは疲れている時や気持ちが落ち込んでいる時に、程度の
 差はありますが起こりやすくなります。物忘れが多い時はこうした精神症状の有無
 はぜひチェックしたいところです。一方、幼少時の記憶、例えば両親に連れていっ
 てもらったデパートで食べたお子様ランチ……といった懐かしい記憶は大人になっ
 たあともずっと心に残っていたりします。これは記憶の分類では長期記憶で、認知
 症においてもその初期段階では長期記憶は比較的保たれていることが少なくあり
 ません。しかし長期記憶の内容は必ずしも事実と一致しないこともあります。例えば
 学生時代、英語のテストで自分はいつも90点以上、旧友のあいつは50点以下で辛
 そうな顔をしていた……と記憶がなっていても、実はその逆が真実だったりします。
 もし同窓会など旧友と再会した際は自分の長期記憶に改ざんがないかどうか、
 ぜひチェックしてみたいところです。
■心の不調は物忘れが増える大きな原因!
 もしこうした物忘れが最近、急に増えてきたら心の状態はしっかりチェックしたいと
 ころす。例えば最近イライラしやすい、あるいは何かショックなことが起きて心が
 動揺していれば何かをつい忘れてしまうかもしれません。実際、心の不調は記憶
 力が低下する大きな原因のひとつであると同時に、記憶力の低下は心の病気で
 も現われやすい症状です。例えば、うつ病は記憶力の低下が現れやすい症状の
 ひとつです。それは場合によってはあたかも認知症のように見えることもあります。
 例えば60代以上の方が急に口数が少なくなり、短期記憶に障害が現われれば、
 周囲の方は年齢のせい、あるいは認知症の症状と勘違いする可能性もあります。
 でも実は記憶障害はうつ病の症状として現われているのであり、それは基本的に
 は精神科的治療によって元に戻ります。
■ボーっとしていた時のことは何も覚えていないもの
 人によっては時に思い切りボーっとしてしまうこともあるかもしれません。もしその
 最中、意に誰かから肩を叩かれ我に返ると、それまでいったい何を考えていた
 かも覚えていないかもしれません。でも実は週末、素敵な誰かと楽しく過ごす白昼
 夢にふけっていて、肩を叩かれハッと我に返った際、その間の記憶が抜けた可能
 性もあるかも……。ボーっとなった状態は精神医学の用語で「解離」と呼ばれます。
 もしも解離が日常的なレベルを超えて解離性障害のレベルになれば、記憶がすっ
 ぽり抜ける時間がはっきり現われてきます。また、いわゆる多重人格も解離性障害
 の範疇に入ります。多重人格正式な病名は解離性同一性障害です。解離性同
 一性障害では、心が解離していた時に別の人格が出現しますが、元の自分に戻る
 と、その間の記憶はないものです。解離性同一性障害はまれな疾患ではあります
 が、もしも自分に記憶が抜けている時間があり、なおかつ見知らぬ誰かから親しげ
 に呼びかけられるようなことが続けば、その相は別の人格がよく知っている人物
 かもしれず、解離性同一性障害の可能性には注意たいところです。
■記憶が抜ける原因にはアルコールなど脳に作用する薬物の影響も!
 一般に記憶に限らず脳が携わる仕事は、脳に作用する薬物の影響を受けます。例
 えばアルコールは嗜好品ですが、中枢神経系を抑制する薬物としての側面もあり、
 過量に飲酒した際、起こり得る記憶のブラックアウトは、薬物による記憶障害の代表
 的な例のひとつです。もし過剰に飲酒した翌朝、前の晩の記憶がまるでない場合、
 それは脳に時的とはいえダメージが加わった結果です。また服用中の治療薬に
 中枢神経系に作用するもの、例えば睡眠導入剤などがある場合、記憶に何らかの
 影響が出る可能性があることはぜひ知っておきたいことです。ところで冒頭の例で、
 封筒を郵便ポストに入れ忘れた原因自体はさまざま考えられます。まず朝、家を出
 た時、カバンの中にその封筒が入っていることを意識していなかったかもしれませ
 ん例えばスマホに夢中になっていたり……。あるいは朝、家を出た時には郵便ポス
 トを素通りしてしまった……。こうしたことは誰にでも時に起こり得ることです。でも家
 を出る時、カギをどこへ置いたかるで思い出せず、見つけ出すのに30分以上か
 かった……なんて事態は避けたいものす。もしもそんな時、「イライラしやすい」
 「熟睡できていない」などの他の症状がある場合、心の健康に黄色信号がともって
 いる可能性にはご注意ください。
年齢のせいにするな!記憶力のいい人の見えない習慣
 「年齢のせいで記憶力が落ちて……」「もっと記憶力がよかったら……」あなたは記憶
 力の低さ、落ち込みを嘆いているかもしれませんが、実は歳をとったから記憶力が
 低下するわけではなく、記憶する能力に大きな差はありません。ただほんのちょっと
 した「習慣の違い」が、記憶できるかできないかの分かれ道なのです。「記憶力のい
 い人」は何をしてるのでしょうか?
年齢を重ねると記憶力は下がるのか?
  あれ? 何だっけ?」と忘れたとき……「年齢のせいか、だんだん記憶力がなった
 ……」「物忘れがどんどんひどくなって……「若いころはもっ
 と記憶がよかったのに……」あなたはこんなふうに記憶できないことを、年齢のせ
 記憶力の低下のせいにしていませんか?確かに、歳を重ねると脳の神経細胞はだ
 だんと減っていきます。しかし、脳の働きを決めるのは神経細胞の数ではありません。
 個々の神経細胞のつながりである「神経回路」の数なんです。そして、この神経回路
 の数は、年齢を重ね、その中で経験を重ねるごとに新たに増続けることがわかって
 います。つまり、若い頃より記憶力が低下している、うことはありません、むしろ向
 上しているはずなのです。

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