2018年6月15日金曜日

犬のしつけの考え方

犬のしつけの考え方
 犬は、しつけをすればするほど、賢くなります。
 そして、子犬のうちのしつけがとても大切です。
 ある年齢までに経験しておかないと、覚えること
 が困難になることもたくさんあるからです。
 時々、「犬はしつけで育てるな」といった本を見
 かけたり、「犬にしつけなんか要らない。かわい
 そうだし、自由に育てればいい」といった話を耳
 にすることがあります。でも、私はそうは思いま
 せん。もしも飼っている犬が、なんの言うことも聞かず、
 ・トイレは、ところ構わず粗相する
 ・人が来たら吠え立てる
 ・撫でようとすると噛む
 ・家の物を壊したりする
 ・子供を攻撃する
 というような犬だったら、好きになれるでしょうか?一緒に幸せに暮らしていける
 でしょうか?しつけとは、なにもオテやオスワリをさせることではないと思います。
 ペットとして生きる犬は、人間社会のルールの中で、幸せに生きてゆかねばなりま
 せん。つまり、犬が人間と一緒に幸福に生きる術を教えるのが、”しつけ”なのだと
 思います。犬は、しつければしつけるほど、賢くなります。そうすることで、飼い
 主は更に犬が大好きになり、愛情を持って育てられるようになります。そして、犬
 も幸せになれます。賢くしつけられた犬は、たくさんのひとからも可愛がられます。
 ひとから愛されれば、犬だって嬉しいし、喜ぶでしょう。人と犬とが幸せに共存し
 ていくために、しつけは大切な事だと思います。
仔犬とお遊び
 子犬と遊ぶ時間は、とても楽しいものです。犬と遊ぶときには、「飼い主も一緒に
 遊ぶ」ようにしましょう。ボール遊びをしたり、かけっこをしたり、引っ張りっこ
 をしたり。また、好奇心を満たす遊びは、子犬が成長する過程で大切な要素です。
 ただし、ボールやフリスビー、タオルの引っ張り合いなど、おもちゃを使う遊びの
 時には、おもちゃを与えっぱなしにするのは良くないとされています。飼い主が子
 犬のリーダーとなるために、遊んだあとはおもちゃを取り上げて、しまって片付け
 るようにしましょう。引っ張りっこの遊びも、飼い主が始めて飼い主が終わらせる
 ようします。犬を走らせるのは、土か芝生の上が適しています。軽いウォーミング
 アップをしてから走りましょう。運動量は、徐々に増やしていきます。室内でも、
 ボールを投げて犬に持ってこさせる遊びや、知育玩具を使った遊びができます。
 「コング」と呼ばれるおもちゃは、とても使える万能玩具です。おやつを上手に使
 って遊びましょう。犬は、遊びの中で考えたり頭をつかうことで、脳を活性化させ
 ることができます。他に手軽にできる遊びとしては、どちらかの手におやつを握り、
 犬にどちらにおやつがあるか当てさせる遊びや、犬の宝物を見えないところに隠し
 て、それを犬に探させる遊びなどがあります。犬が上手に遊べたら、たくさん褒め
 てあげましょう。
ご褒美と罰
 犬は学習能力が高いので、嬉しいこと(ご褒美)が起こると、それを繰り返すよう
 になります。逆に、嫌なこと(罰)が起こると、その行為を避けるようになります。
 従って、ご褒美と罰のタイミングが、とても大切になります。何をしたら褒美をも
 らえるのか、どんなことをすると罰をうけるのか、犬が分かるように褒美と罰を与
 えてあげなければいけません。
【褒美の与え方】
 褒美は、行為の直後か、その行為の最中に与えましょう。トイレに成功したとき、
 しつけで言う事を聞いたとき、飼い主が与えたおもちゃをかじっているとき、おと
 なしく寝そべっているときなど。褒美は、犬が十分に報いられたと感じるもの与え
 ます。おやつを与えたり、「よしよし」と褒め言葉を与えたり、「イイコイイコ」
 と撫でであげたり。犬が大喜びするおやつは、褒美の時に少量を与えるようにして、
 褒美の価値を高めます。声をかけて褒めるときには、犬の名前を一緒に呼ぶと良い
 でしょう。
褒美の方法をまとめると、下記の三つです。
 ・おやつを与える
 ・言葉で褒める
 ・撫でる
【罰の与え方】
 罰は、副作用を伴うおそれがあるため、その方法に注意点があります。
 間違った罰の与え方をすると、犬と飼い主との信頼関係を損なったり、問題行動が
 増幅してしまうこともあります。そもそも罰は、犬を懲らしめるためのものではあ
 りません。良くない行動を犬に学習させ、好ましい行動へと導くためにすることで
 す。ですから、冷静な態度で罰を行う必要があります。決して、感情的になって罰を
 与える事のないようにしましょう。犬と喧嘩してしまっては、リーダーとして(飼い
 主として)失格です。飼い主が罰を与えるときにまず注意すべきことは、『自分の身
 に危険がないように』ということです。小型犬でも、本気で手を噛めば大怪我をしま
 す。また、罰を与えるときに、犬の名前を絶対に呼んではいけません。自分の名前を、
 嫌な事とセットで覚えてしまいます。罰は、褒美と同じで行為の直後か、その行為の
 最中に与えましょう。タイミングよくするとともに、最初から十分強く行います。
 中途半端な罰は、逆に犬を興奮させてしまう場合があります。罰を与える際には、
 その問題行動をするたびに必ず毎回与えるようにします。与えるときと与えないとき
 がある場合には、罰の効果は殆ど無いとされています。罰の方法は、「無視をする」
 と「天罰を与える」があります。殴る,蹴る,叩くなどは、絶対にしてはいけません。
 飼い主といつも一緒にいたいと思っている犬にとって、「無視をする」という罰は、
 非常にこたえるものと言われています。そのため高い効果が期待できますが、この
 「無視をする」という罰を正しく実践するのは、なかなか難しいものです。
 犬が過度にじゃれついてきたり、要求して吠えたりしたときに、「無視をする」とい
 う罰を与えるのが効果的です。もうひとつの「天罰を与える」とは、犬が『飼い主に
 やられた』と分からないよう罰を与えることです。「無視をする」という罰が使えな
 いときに、「天罰を与える」という罰を使います。例えば、チャイムが鳴ると吠える
 という問題行為に対して罰を与える場合、「無視をする」では意味が無いので、「天
 罰を与える」という方法を使います。一般的な天罰は、ペットボトルや空き缶に小石
 やコインを詰めて犬に投げてぶつけるという方法です。あるいは、かじってはいけな
 い物(例えばスリッパ)にビターアップルなど苦い液体をスプレーしておき、犬がそ
 れをかじったら嫌な思いをするというのも天罰です。いづれも、飼い主の仕業だと気
 付かれないようにするのがポイントです。
【罰と褒美はセットで】
 罰は、その問題行動をしないようにするというよりも、好ましい行動をするようにす
 るためのものです。従って、問題行動に対して罰を与えたら、それに対する好ましい
 行動に対して褒美を与えましょう。例えば、クッションを噛んだら罰を与え、おもち
 ゃを噛んだら褒美を与える、という具合です。おもちゃを噛むようにしつけるために、
 クッションを噛んだら罰を与え、おもちゃを噛んだら褒美を与えます。そうすること
 で、犬は何を噛むと良いのか学習することができます。
トイレのしつけ
 トイレは、しつけというよりも、「犬の習性を利用する」という考え方のほうが正し
 いかもしれません。まず肝に命じておくことは、『粗相をしても叱らない』というこ
 とです。粗相をしたときに叱ってしまうと、犬は”排泄をすることが悪い事だ”と勘違
 いしてしまい、状況を悪化させてしまいます。また、「トイレにオシッコの臭いをつ
 けてあげるとトイレの場所を覚える」というのも正しくないようです。犬は清潔好き
 ですので、汚れていないところでオシッコをしたいようです。トイレシートはまめに
 変えて、清潔な状態を保つようにしましょう。トイレのしつけで大切なのは、トイレ
 の場所です。野生の犬は、巣から離れたところで排泄をするという習性があります。
 従って、寝床(ハウス)から離れた場所にトイレを用意しましょう。最低でも50cm
 以上は離します。しつけの段階では、トイレはサークルで囲った中に用意します。
 つまり、サークルの中にトイレシートを敷き詰めて、そこをトイレとして使用すると
 いうことです。トイレが上手にできるようになるまでは、犬の自由を制限し、放し飼
 いはしないようにしましょう。具体的なトイレのしつけの方法ですが、『犬を寝床
 (ハウス)から出したら、トイレ(サークルの中)に入れる』ようにします。
 そして、犬がそのなかでトイレをしたら、外に出してあげるようにします。
 しばらく時間が経ったら、あるいは犬がトイレに行きたい仕草をみせたら、サークル
 の中に入れます。犬がトイレをしたら、サークルから出してあげます。遊びの時間/
 自由時間が終わったときや、飼い主が出かけるとき、夜寝る時には、寝床(ハウス)
 に入れるようにします。そして犬をハウスから出すときに、サークルの中に入れて
 トイレをさせます。これを繰り返していくうちに、条件反射で、トイレの場所に連れ
 て行くとトイレをするようになります。そうなったら、サークルで囲う必要も無くな
 ります。まとめると、下記をひたすら繰り返すということになります。
 ・ハウスから出したら、サークルに入れてトイレをさせる
 ・トイレの時間になったら、サークルに入れてトイレをさせる
 ・犬がトイレの仕草をしたら、サークルに入れてトイレをさせる
 犬のトイレのタイミングは、寝起き,食後,運動後,興奮した後などです。仕草とし
 ては、ニオイを嗅いで探したり、クルクル回ったりします。子犬は、トイレの間隔が
 短いです。子犬の様子をよく観察し、トイレのタイミングを見計らってサークルに連
 れていくようにしましょう。失敗して粗相をしても、絶対に叱ってはいけません。犬
 を見えないところに連れて行ってから、黙ってササッと掃除しましょう。
 逆に、サークルの中でトイレができたときには、しっかりと褒めてあげましょう。
 犬を外に出しているときは、自分でトイレに行こうとするかもしれませんから、サー
 クルの扉を開けておきましょう。ハウスから出されたときにサークルに入ってトイレ
 をすることが条件反射となり、サークルの中のトイレシートの上ですることが習慣に
 なったら、トイレのしつけは成功です。サークルの囲いを取り外し、トイレを室内に
 設置して、犬を自由にさせることができるようになります。
仔犬の社会化
 仔犬の社会化とは、人間社会で犬が一緒に暮らしていくために人間社会のさまざまな
 出来事に犬自身が対応できるように慣らしていくことです。
〈第一社会化期〉
 生後2~3ヶ月までの第一社会化期は仔犬にとって最も大切な時期です。子犬の時に
 様々なことを体験・経験することで、人間社会に慣れ、怖がらず安心して暮らすこと
 ができます。しかし、この時期はまだ伝染病予防が完全ではないので地面を歩かせて
 散歩をさせることが出来ません。まずは、人に慣れさせましょう。自宅に友人を招い
 たり、抱っこをして散歩に連れて行き、多くの人を見せることにより慣れさせます。
 散歩をしている犬、車や自転車などにも慣れるようにします。社会化で大切なことは、
 子犬が初めて体験することが、楽しい経験となるようにすることです。
〈第二社会化期〉
 生後5ヶ月~1才くらいまでの第二社会化期には「お散歩デビュー」をして、活発に
 動きまわるようになります。抱っこされていた時とは違う目線で、さまざまな臭いな
 どを探索して第一社会化期で覚えたいろいろな物を犬自身の鼻・耳・目で確認する時
 期です。新しい刺激にも慣れるように、積極的に社会化のトレーニングを続けていく
 ことが大切です。
社会化トレーニングで注意することは次のような点です。
 ・焦らず、ゆっくり。愛犬のペースで行う。
 ・新しい刺激が「楽しかった」「平気だった」と体験させる。
 ・怖がることは体験させない。
 ・弱い刺激から行い、徐々に慣れさせる。
 社会化は継続することが大切です。
 犬にとって外の世界が刺激的で楽しい場所になるように、飼い主が一緒に散歩を楽し
 みましょう。
サークルトレーニング
 サークルトレーニングとは、犬がサークルの中で楽しく過ごせるように、大人しく
 留守番ができるように、トレーニングすることです。10年先のことまで考えてルール
 を決め、根気よくトレーニングをすることで犬のストレスを最小限に抑えることがで
 きます。サークルトレーニングで最も重要なことは飼い主の気持ちや態度です。
 「サークルに閉じ込めるのは可哀そう・・」というようなマイナスの感情は犬にも伝
 わります。飼い主が自信をもってトレーニングをすると、犬は状況を受け入れてリラ
 ックス出来るようになります。
【トレーニング法の一例】
〈飼い主が同じ部屋にいる時〉
 飼い主が同じ部屋にいても犬がサークルで過ごす時間を作るようにします。
 犬をサークルに入れて、鳴いたり吠えたりしている間は無視をして、静かになって少
 ししてから出す。最初は1分から試して、5分・10分と時間を伸ばしていきましょう。
〈飼い主が部屋を出る〉
 犬をサークルに入れて、飼い主は別の部屋に行き様子を窺う。吠えたり暴れたりした
 ら、出来るだけ静かになってから部屋に戻ります。回数を重ねるごとに少しづつ、戻
 る時間を伸ばしていきましょう。
〈飼い主が家を出る〉
 犬をサークルに入れて家を出て玄関ドアを閉め、様子を窺う。犬が静かにしていたら
 すぐに戻り、騒ぎ出したら静かになってから戻りましょう。慣れてきたら短時間の外
 出をして、少しづつ時間を伸ばしていきます。サークルの中は安心できる場所と犬が
 覚えたら、トレーニングは成功です。ただし、仔犬はサークルの隙間に足が挟まった
 りすることがあるので注意して行ってください。サークルトレーニングではサークル
 の中にいると良いことがある、楽しいことがあると子犬に思わせるようにします。
 食事やおやつを与えたり、かじるものやおもちゃを与えたりなど工夫してみましょう。
 褒美は、サークルの中で子犬が静かにしているときに与えます。逆に、子犬がサーク
 ルから出たがって吠えたときには、無視するという罰を与えます。ただし、まだ幼い
 子犬の時期に、サークルの中に長時間入れることは避けましょう。
主従関係・服従
 犬は集団で生活し、リーダーに従って生きていく動物です。同伴犬(ペット)として
 飼われる犬にとっては、人間社会で生活していくために、飼い主(人間)に従って生
 きてゆけることが一番の幸せ。だからこそ、飼い主が主で犬が従となる主従関係を構
 築し、犬を服従させるべきだと思います。それは、『犬の幸せのため』なのです。
 人間の感覚で「それはかわいそう」と思っても、犬にとっては「不幸せ」ということ
 もあるでしょう。なんでも”自由がいい”というわけではありません。犬(祖先の狼)
 は、とても臆病な動物です。だからこその集団生活と主従関係・服従のルールがある
 のです。守られている安心感を必要としているのですから、飼い主がそれを犬に与え
 てあげましょう。犬は本来、頼れるボスに服従したいのです。
【食事は犬が後!】
 上下関係を分かりやすく教えることができる事の一つが、食事の順序といわれていま
 す。リーダーが先で、下は後。飼い主が実践しやすい方法でもありますね。
【散歩は飼い主の都合で】
 犬の要求に答えるのではなく、あくまで飼い主(リーダー)の都合で行うようにしま
 しょう。散歩する時間も、行き先も、歩き方も。とくに、犬が先に歩こうとしたら、
 ”クルッ”と方向転換をして、飼い主に従って歩く形に変えましょう。こうすることで、
 「リーダーが飼い主」であることを実感します。このときに大切なことは、目を合わ
 せないこと。しゃべってもいけません。
【ベッドやソファの上に乗せない】
 犬を人間より高い所にいかせないようにしましょう。また、寝室は別々の部屋が望ま
 しいです。
【叱るのではなく無視する】
 いくら叱っても、犬はそれを理解することはできません。なぜ叱られているのか分か
 らないのですから、”攻撃してくる相手”として飼い主と敵対してしまいます。
 犬がいちばんこたえるのは「無視される」ということ。無視されると、自分がリーダ
 ーではないことを実感します。
【服従の姿勢とマズルコントロール】
 子犬が甘噛みをしたりいうことをきかないときには、親犬がするように子犬の喉元を
 グイっと抑え込んで、仰向けにし、そけい部を呈示させます。犬が仰向けになってお
 なか(そけい部)を見せるしぐさは、服従の姿勢です。服従の姿勢で、犬の地位を理
 解させましょう。また、喉元を抑え込めば、噛まれることもありません。そのまま口
(鼻先)を持って、左右上下に自由に動かします。これをマズルコントロールといいま
 す。マズルコントロールは、甘噛みをやめさせたり、いうことをきかせるためだけに
 するのではなく、母犬が子犬に対してこの教育を行うように、子犬のしつけでも行い
 ましょう。マズルコントロールにより、犬を安心させることができ、飼い主のリーダ
 ーシップを発揮することができます。
アイコンタクト
 アイコンタクトとは、目と目をあわせて「見つめ合う」ことです。アイコンタクトが
 出来るようになると、しつけをする時にとても役に立ちます。焦らず、じっくりとト
 レーニングをして、愛犬との信頼関係を築いていきましょう。本来、犬社会では、相
 手と目を合わせることは敵意の表れとされています。例えば、散歩中に出会った犬同
 士は鼻先を突き合わせたり、お尻の臭いを嗅いだりして挨拶をしますが目と目をしっ
 かりと合わせることはありません。しかし、群れの中ではリーダーは「常に注目」さ
 れる存在なのです。下位の犬はリーダーの目を見つめて、リーダーの気持ちを知ろう
 とします。つまり、群れの中でのアイコンタクトはリーダーとの信頼関係を意味する
 のです。飼い主との間で確実にアイコンタクトができるようになれば、犬は飼い主を
 信頼して、より「しつけ」がしやすくなります。
【アイコンタクトのトレーニングをしてみましょう】
 アイコンタクトのトレーニングで一番大切なことは、「名前を呼ばれると良いことが
 ある!」と学習させて名前に対していいイメージを作ることです。
ステップ1 「名前を呼ばれたら振り向く」をマスターする
 仔犬の名前を呼んでみて、仔犬が振り向き一瞬でも目を合わせることができたらたく
 さん褒めて、ほうびをあげます。これを繰り返し、目が合っても褒美を与える時間を
 少しずつ長くしていきましょう。もし途中で、仔犬が目をそらせてしまうようならほ
 うびを子犬と飼い主の目線が交わるところに持っていき、仔犬の名前を呼んでみます。
 上手くアイコンタクトがとれたら、褒美を与えましょう。このトレーニングで仔犬は
 「名前を呼ばれて飼い主の目を見るといいことがある。」と覚えるようになります。
 慣れてくると、名前を呼ぶだけでアイコンタクトがとれるようになり、しつけがしや
 すくなります。ただし、仔犬が集中できる時間は短いので、一回につき5分くらいで
 終わらせるようにしましょう。
ステップ2  飼い主と犬の信頼関係を築く
 名前を呼んでアイコンタクトが出来るようになったら、次は仔犬が何かに夢中になっ
 ているときにトレーニングをしてみましょう。例えば、仔犬が好きなおもちゃに夢中
 になっているときに近づいて、名前を呼びます。もし、一瞬でも目を合わせることが
 できたら、たくさん褒めてほうびをあげます。これを繰り返して、ほうびがなくても、
 他の事に夢中になっているときでも名前を呼ぶと振り向いてアイコンタクトができれ
 ば成功です。飼い主と犬との信頼関係が築けた証となります。アイコンタクトは犬が
 人間社会で一緒に暮らしていくうえで、とても役にたちます。アイコンタクトによっ
 てできた信頼関係は日常生活はもちろん、お出かけや動物病院の診察の時などにも役
 立ちます。この先も永く、愛犬との信頼関係が続くように、アイコンタクトのトレ
 ニングを続けていきましょう。
許可してはいけない行動
 噛んだり吠えたりといった明らかな問題行動は、してはいけない行動と分かりやすい
 のですが、犬がごく普通にしているように見える行動の中に、飼い主が許可すべきで
 ない行動があります。それは、犬がリーダーシップを発揮しようとする行動だったり、
 犬の権威を認めてしまう行動だったりします。たいていの場合、飼い主はそうとは知
 らずに許可してしまっているようです。犬に許可してはいけない行動を、まとめてみ
 ます。
【ベッドやソファの上に乗る飼い主よりも高く持ち上げる】
 犬が高い所に上がることを許可したり、犬を飼い主の顔よりも上に持ち上げると、
 犬に「自分のほうが優位だ」と思わせてしまいます。
【犬がねだったときに散歩に行く】
 犬は、要求すれば散歩に連れて行ってくれる(自分のほうがえらい)と誤解してしま
 います。「犬が要求したときは、それに答えない」がしつけの基本。要求していない
 ときに、犬が喜ぶことをしてあげましょう。
【リードを引っ張り、前を歩く】
 犬は自分がリーダー(ボス)だと思うと、先頭をいこうとします。元気があり、早く
 目的地に着きたくて、先を行くケースもありますが、リードをぐいぐい引っ張ってい
 こうとする場合は、犬が飼い主を従属させようとしていると考えられます。このよう
 なときには、くるっと向きを変えて、飼い主の主導のもと散歩するようにしましょう。
【帰宅すると飛びついてくる】
 嬉しい気持は十分理解できますが、人が玄関に来るたびに興奮する犬になってしまっ
 たり、飼い主がいないと落ち着かない分離不安を育てる原因にもなってしまいます。
 極度にじゃれついてくるときには、落ち着くまで無視するようにしましょう。
【【その他、飼い主が気をつけるべき行動】】
 知らず知らずに、犬をボス扱いしないように気をつけましょう。
【理由もなく常に犬を撫でる】
 犬が「自分がボスだ」と誤解を招く恐れがあるのと、犬が飼い主に依存し常に一緒に
 いないと不安を感じる分離不安の原因になる恐れがあります。甘やかしすぎは、犬に
 とって逆にストレスを与える行為になってしまいます。
【犬の食事を先に与える】
 ボスが先に食事をするのが犬社会のルール。
 犬を服従させるためには、飼い主の食事が終わってから、飼い主の手から食事を与え
 ましょう。
【おもちゃの与えっぱなし】
 ひっぱりっこなどは楽しい遊びですが、犬にとっては順位付けをする行為でもあり
 ます。おもちゃを犬に与えっぱなしにし、犬が「奪い合いに勝った」と思わないよ
 うに、飼い主がおもちゃを取り上げて、遊びを終わらせるようにしましょう。
甘噛みと噛みつき防止
 噛みつきは、犬の問題行動の中でも特に飼い主が困ることでしょう。子犬の頃からの
 甘噛みへの対処をしっかりとしておくべきです。噛みつかない犬にすることは、「オ
 スワリ」や「マテ」のしつけよりも大事なことですね。
【噛みつき防止トレーニング】
 子犬は何でも噛もうとします。飼い主の手を本気ではなく軽く噛んでくる甘噛みもそ
 うです。可愛いからといって、この甘噛みを許可してしまうと、子犬は「噛んでも良
 いのだ」と覚えてしまいます。子犬であっても、甘噛みを許してはいけません。
 「人間の皮膚は弱いので、噛んではいけない」と、しっかりと覚えさせましょう。
 そのためには、子犬が少しでも歯を当ててきたら、「痛い???っつ!!!」といって、
 声を出して大げさに痛がるようにします。子犬は、飼い主の反応を見て、噛みつきを
 自制するようになります。甘噛みや噛みつき癖は、成犬になる前に対処すべきです。
 まだ幼い子犬なら、噛まれても大怪我をすることはありません。子犬のうちに、「人
 の皮膚を噛むことはいけないことだ」ということをしっかりと学ばせましょう。
オイデのしつけ
 「オイデ」と犬の名前を呼んで、犬を手元に呼び寄せることができるようになること
 は、しつけの一番の基本です。犬のしつけは、オイデに始まりオイデに終わる、と言っ
 ても良いでしょう。しかし、この「オイデ」のしつけが、簡単なようで難しいものだと
 言われています。本来、犬はいつも家族と一緒にいたいと思っているので、「オイデ」
 と言えば喜んでやってきます。おやつなどを見せれば、飛んでやってくるでしょう。
 でも、犬が夢中で遊んでいたり、何かを追いかけたり興奮しているときに、「オイデ」
 と犬を確実に呼び戻すことは、なかなか難しいことです。まずは、食事のときに、犬
 の名前を呼んで「○○、オイデ」と言うようにしましょう。オイデの最初のしつけは、
 これだけで十分です。
【オイデのしつけの前にアイコンタクト】
 オイデのしつけの前に、子犬とアイコンタクトがしっかりと取れるようになっておき
 ましょう。子犬が自分の名前を理解し、飼い主の顔を見ることが出来なければ、オイ
 デのしつけも困難です。
【タイミングが重要な「オイデ」】
 最初は何かに夢中になっているときではなく、落ち着いているときに「オイデ」と呼
 ぶようにしましょう。大切なことは、「オイデ」と呼んだときに子犬がちゃんと近く
 に来たら、褒めてあげることです。『飼い主のところに戻ると楽しい!』という感覚
 を子犬に覚えてもらうことが重要です。逆に、「オイデ」と子犬を呼び寄せて叱るよ
 うなことをしてしまうと、”戻ると嫌なことがある”ということを覚えてしまうので、
 オイデのしつけが失敗に終わってしまいます。犬が嫌がるようなことをするとき(例
 えば耳掻きが嫌いな犬や風呂が嫌いな犬に、それらをするとき)にも、「オイデ」と
 呼んではいけません。呼ばれて近くに行くと嫌なことが起こることを覚えてしまうと、
 オイデのしつけに失敗します。オイデと呼ばれたときに飼い主のもとに戻ると楽しい
 ことがある(=嫌なことはない)と覚えることで、オイデのしつけは成功します。
マテとオスワリ
 「マテ」や「オスワリ」が出来るようになると、たいへん飼いやすい犬になります。
 特に、犬をおとなしく待たせる「マテ」は、あらゆる場面で役に立ちます。
【オスワリのしつけ】
 犬の鼻先にエサを持っていき、犬がエサを食べようとしてしゃがんだら(オスワリの
 格好になったら)、「オスワリ」と言ってエサを食べさせましょう。子犬が自分から
 オスワリの格好をしたときは、すかさず褒めてあげましょう。そうすることで、「お
 しりを地面につけると飼い主が喜ぶ」ことを覚えます。
【マテのしつけ】
 マテは、犬に自制心をつけさせるためにも、重要なしつけです。我慢することができ
 ない犬になってしまうと、自己主張が強くなり、噛みつきや飛びつきなどを助長して
 しまいます。「マテ」の命令で間を取れるようになると、犬の集中力も高まり、飼い
 主が犬に振り回されて周りに迷惑をかけることもなくなります。マテのしつけは、食
 事のときに毎回行うようにしましょう。まず、オスワリをさせます。その状態で、犬
 がエサを勝手に食べないようにエサを持ちながら、「マテ」と号令します。しばらく
 間を取ったら、「ヨシ」と言ってエサを食べさせます。次に、オスワリの状態で「マ
 テ」と号令し、犬から離れていきます。犬が動き出そうとしたら、すーっとエサを差
 し出して犬の動きを止めて「マテ」と言って間を取ってから、エサを食べさせます。
【号令について】
 「マテ」の解除の号令として「ヨシ」というのと「ok」というのと、どちらがよいで
 しょうか?それは、犬を褒めるときに「ヨシヨシ」と褒める場合は、それと区別する
 ために、「ok」のほうが良いでしょう。「イイコイイコ」と褒めるなら、「ヨシ」で
 大丈夫です。犬が混乱しないように、号令は統一して使うようにします。あるときに
 は「ダメ」といい、べつのときには「ノー」というような号令の使い方では、犬は理
 解できません。
犬との散歩
 散歩は、犬にとって最高の楽しみの一つです。理想的な散歩スタイルは、犬が飼い主
 の横について歩くか、少し後を歩く形でしょう。リードをグイグイと犬に引っ張られ
 ながら・・・というのは、好ましくありません。これでは、主導権が犬の方にあり、
 飼い主が犬をコントロールできません。トラブルの原因にならないよう、飼い主が犬
 を従える形にしましょう。とはいえ、犬はついつい先を急ぎ、リードをグイグイと引
 っ張ってしまうのが普通です。人間の歩行スピードは、犬にとっては遅すぎてしまう
 のです。そこで、そのような犬の本能を押さえて、リードを犬に引っ張らせないよう
 にします。
【飼い主が主導の散歩】
 まず、リードを少したるませた状態で散歩するようにします。犬と目線は合わせない
 ようにしましょう。そして、犬が先に勝手に動いたときは、飼い主は静止するか、ク
 ルッと向きを変えて、反対方向に歩き出すようにしてみましょう。決して犬の動きに
 は従わず、飼い主の勝手で散歩をするようにします。横について歩く散歩のしつけは、
 時間がかかるかもしれませんが、正しい主従関係を構築する上でもとても有効なこと
 ですので、しっかりと練習していきましょう。



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